ロイヤル・アルバート・ホールで調律をする男、ジェリー

イギリス、ロンドンのロイヤル・アルバート・ホールはご存じですか。毎年まさにいまこの時期、BBCプロムスという音楽祭をやっている場所で、7000人収容とも8000人収容とも言われる巨大なホールです。

残念ながらここに行ったことはないのですが、ここの特殊な音響、特別な雰囲気についてはいろいろなアーティストから耳にしています。一度行ってみたい場所の一つです。

皆様もロンドンに行く機会があればぜひいちど行ってみてください。

ロンドンといえば、新しいコンサートホールを作る計画があります。サイモン・ラトルが主導しているのですが、なぜかと言うとロンドンのコンサートホール、特にオーケストラの演奏会が出来るような大ホールは、音響がひどいところばかり、という事情があるそうですね。

ロイヤル・アルバート・ホールも、素晴らしい音響だとは言われますがオーケストラ公演にはちょっと大きすぎますよね、きっと。東京国際フォーラムAのような感じ・・・か?

ところで今日はそういう話ではなくて、ジェリーでした。ジェリーはロイヤル・アルバート・ホールのピアノを23年間にわたり調律しているという人です。盲目だそうです。動画がアップロードされていたので、2分弱と短いので見てしまいました。

元ネタは、ロイヤル・アルバート・ホール公式サイトのこのページ
http://www.royalalberthall.com/about-the-hall/news/2016/july/behind-the-scenes-meet-gerry-the-royal-albert-halls-piano-tuner/

この映像を見ていたければわかると思うのですが、調律師って、つくづく孤独です。影の存在です。本番中は仕事をしていない。本番が始まるよりもずっと前に、誰もいないホールで、寒々しい空気の中で一人、ひっそりと仕事をするのです。

譜めくりストもたいがい影の存在ですが、譜めくりストは本番中ステージを演奏家とわかちあいます。調律師はもっと日陰かもしれませんね。休憩の時、あるいは開場時に仕事をする場合もあるけれど、コンサートの時に調律師の存在を感じ取って感謝する聴衆がいったいどれほどいるでしょうか。・・・・たぶんほぼゼロです。

聴衆は、ピアノの音程が狂っているかどうか、ということは、耳の良い人ならわかるかもしれませんが、鍵盤が揃っていなかったり、音が揃っていなかったり、ということに気づく人はいないでしょう。そういうこともこっそり直している、それが(腕のいい)調律師。

一流の調律師は、ピアノの様子、調子だけではなく、その日のピアニストの様子、調子も考慮しながら調律を変えたりしているそうですから、すごいですよね。

ピアノのお医者様ですよ。ステージ上をうろうろする調律師らしき人を見かけたら、ぜひ心の中で「ありがとう、愛してるぜ、ピース」って声をかけてあげてください。

ジェリーの話をするはずだったのに、ずれていってしまいました。