ピアニストが集まって冗談音楽をやるとどうなる?

アーティストと呼ばれ、自分でも自身をアーティストと認めている人たちは、概して自由人が多いです。ビジネスマナー読本、とかそういうのには全くとはいわないけれど、縁がない。

事務局とかそう呼ばれるところの人たちとは一線を画しており、事務局側はもっと、なんというのでしょう。事務局だけに事務局事務局しています。ときどき、事務局はアーティストとあまりうまく折り合わない。ときどき、激しく折り合わない。

でも、アーティストのなかにあってピアニストって、基本的に真面目な部類に属しますよね。真面目なんです。ひたすら一人で練習するし、曲も一人で完結する曲が多いし、無言でピアノに向かっている時間がともかく長いですし。

なのでピアニストのコミュニケーション能力というか、冗談力っての?相対的に言って低めだと思うんです。(あくまでも相対的に、ですよ。そして誰にでも当てはまるわけではありません。)その逆にコミュニケーション能力が平均して高いのはたとえばチェロ奏者とかなのですが。

そんなピアニストがたくさん集って、ジョークをやらかすとしたらどうなるのか。その最高度な失敗例(成功例?)の一つを見つけてしまったので今日はそれをご紹介したいかなと思いました。

まず出演者を見て驚いてください。ジーナ・バッカウアー、アリシア・デ・ラローチャ、ホルヘ・ボレット、ラドゥ・ルプー、ギャリック・オールソン、ジョン・リル、ジャンヌ=マリー・ダルレ、バリント・ヴァジョニっておいおい、すごい面々ですね。

この全員でステージ上に8台のピアノを並べ、へんてこなトルコ行進曲(ベートーヴェン原曲の)を弾くんですが、これが実になんというか、うわあ、ピアニストってこうなんだよなあ、と思ってしまうような、こう、真面目一徹、星飛雄馬な感じ。ジョークなのにもうそれはそれは一生懸命弾いちゃっている。見ていて、自分の裏返しをみているようで(偉そうに申し訳ありません)、なんだか胸がかきむしられるような気になりまいた。

真面目だなあ、最後にみんなで舞台から蜘蛛の子を散らすように走って逃げる感じも・・・真面目だなあ。

まさかルプーがこういうジョークに参加しているとは思いませんでしたが、しかしトルコ風?な帽子をかぶったりシガーをくわえたりとか積極的に楽しんでいる。

今やルプーも年をとったし、神格化されているし、本人から進んでこういうことはしないのではないかと思うのですが、若い頃はもう少し、くだけた人だったのかもしれませんね。