ポール・ルイス、リーズ国際から手を引く

英国の国際的ピアニスト、ポール・ルイスがリーズ国際コンクールの芸術監督に就いたのは三年前。そして1回だけコンクールを実体験しただけでその任を降りることが先日発表されました。

Adam Gatehouse becomes sole Artistic Director of The Leeds
https://www.leedspiano.com/4267-2/

上のコンクール公式サイトにいろいろぐだぐだと書いてありますけれど、ルイスの本音としては「1回やってみたけどもうこりごり」ということかと思われます。あくまで想像ですけど。もしかすると最初から1回だけと決めていたのかもしれませんけれど。2015年よりアダム・ゲートハウスという人が共同で監督をやっていましたが、今後はゲートハウスが一人でやる、ということに。

ゲートハウスという人が何者なのか不勉強な私はよく知らなかったのでリサーチをかけてみましたところ、どうやら音楽家、しかも指揮者なのだそうです。名前を知らないということは指揮者としては成功しなかった、ということになろうかと思いますけれど、Wikipediaを見ますとボールトとプレヴィンに学んでいて、フェニーチェ歌劇場とかブルックリン・フィルとかは指揮した経験があるみたいです。

そののち、ラジオ番組の制作に関わったり、若手発掘プログラムに参加したり、あるいはコンクールの審査員を務めたりしているので(リーズの審査員もやっている)、指揮者としてよりも、裏方としての功績がある方のようです。なのでポール・ルイスがいなくたって多分一人で出来るもんなのではないかと思われます。

加えて、もれ聞くところによりますと(リーズ国際の創設者である)ファニー・ウォーターマンは、一応形としては引退ということになっていますが、いまでもかなりの部分で非公式に関わっているようなので、それもポール・ルイスとしてはかなりやりにくかったのではないかと想像いたします。コンクールを新しくしようとおもっても、ファニーがあれやこれやと口出しをしてきていたとしたら・・・面倒だなと思っても不思議ではない。

そもそもルイスにはゲートハウスほどには、リーズ国際に思い入れがなかったのかもしれない。また長く裏方でも活動してきたゲートハウスと、純粋にピアニストとして活躍してきたポール・ルイスとの政治的な手腕は比較にならないのかもしれません。

考えてみますと、現役のピアニストでコンクールの芸術監督として深く関わっているっていうケースはそもそもそんなにない、ようにも思います。なかなか両立は難しいのでしょうね。

いやはや、リーズ国際の今後のさらなる発展を期待いたします!