日本に来たピアニストたちのほぼ全てが絶賛する事があります。
一つは和食。そしてもう一つは・・・「ホールの響き」です。先日来日したカバッソさんもそうでしたが、日本のホールの音響が素晴らしいと言う事を絶賛されて帰られました。特に宗次ホールとJTアートホール。
ただ、日本に住んで日本の数多くのホールを見ている身からしますと、全国的に似通った形、見た目(内装の話です)のホールが多いように思います。壁はだいたい木製で、ほどよい茶色をしていて、壁は音響効果を考えてでこぼこしている、という感じ。
天上が白く塗ってあったり、内装の一部として大理石が使われていたりしますが、あまり個性的な造りのホールは多くありません。なんとなくどこもやや人工的な印象(造りも、響きも)を受けます。どこへ行ってもそれなりにクオリティは高いですが、「つきささって来るもの」があまりありません。独特の個性がない。大変申し訳無いながらも、新しいホールであればあるほどそういう傾向があるように思います。
その点、海外のホールは、仮に響きがあまりよくなくても、建物や内装に独自性があって、人間味を感じます。今日ご紹介したいオールドバラ(イギリス)のスネイプ・モルティングス・コンサートホールも素晴らしい建物。
もともと醸造所だった建物を改装してコンサートホールにしたそうです。オールドバラと言えばブリテンゆかりの地で、そう、ブリテンが始めた音楽祭がこのオールドバラ音楽祭なんです。
1967年からこの場所で音楽祭が開かれていますが、実はその1967年の音楽祭3日目にして火事で焼失。翌年に建て直されているということなので、まだほんの50年ぐらいしか(50年ぐらい・・・)経っていませんが、いい味が出ています。
音響も素晴らしいらしく、内田光子やネルソン・フレイレが録音に使用していたりもします。
イギリスに行く機会があれば、ぜひ立ち寄ってみたい場所です。オールドバラ音楽祭は6月開催なので、その時期に合わせたい。今年はアックス、エマール、ステファノヴィチ、内田光子などのピアニストが出演するようですよ。公式サイトはこちら。チケットも買えます。
ホール内部の写真は、モノクロですがこのページとかにたくさんあります:
http://www.brittenpears.org/resources/snape-maltings-concert-hall