内田光子が12台のスタインウェイにノー!

ハンブルクに新しいコンサートホール、エルプフィルハーモニーが作られています(上記画像)。金額が大幅に膨れ上がったり、工期が遅れまくっていたりでいろいろ問題となっているホールですが(Wikipediaのエルプフィルハーモニー日本語ページを参照)、またしても問題が持ち上がりました。

このホールのためにスタインウェイのピアノを3台入れることになっていて、そのピアノの選定を内田光子がしたのですが、12台試弾して1台もいいものがなかった、というのがそのニュース。ソースはイギリスの評論家ノーマン・レブレヒトのブログです。レブレヒトもドイツ語のニュースを英語で紹介しているので、一次ソースではないです。

私はドイツ語が出来ないので一次ソースをあたったわけではないですが、レブレヒトのブログのコメント欄は内田光子を擁護する人と非難する人のコメントで若干荒れている感じ。どちらかと言うと非難する人が多いです。

確かに最近のスタインウェイにはいいものがない、という意見から、12台選んで1台もいいのがないなんてふざけているという意見や、そもそも内田光子はたいしたピアニストではない、という、憤りからかちょっと論点がずれた意見もあり。・・・でもまあ非難がましいことを言われてもおかしくないかな、と思わざるを得ないです。

そう、個人的にはどちらかと言うと、そこまでしなくてもよかったのでは、と思っています。そう思う理由は・・・どんな素晴らしいピアノを選んでも全てのピアニストが満足するわけではないから。

裏を返せば、そこまで素晴らしいピアノではないと内田さんが感じたとしても、素晴らしいピアノだ、と感じるピアニストもいると思われるので、そこまで神経質になって12台総てにNoと必要はなかったのでは、と思うから。・・・外野はプレッシャーも何もなく、何でも好きなこと言いたい放題なのですがね・・・。本当に全然だめなピアノが並んでいたという可能性もありますし・・・。もうしそうだとしたら偶然なのか、意図的にだったのか・・・などと考えて行けばきりがないです。

ホールに合うピアノを選ぶという目的でやっていたので、彼女自身の好みを反映させたものではない、という意見もありましたが、結局は内田光子の感性で選ぶことになるので、彼女の好み(=このホールに合うだろうという内田光子の個人的な意見)が反映されたもの、ということになる、と思います。

気に入るピアノがないなら何台でもNOというのはつまり「完璧主義」ですよね。完璧主義でありたいと思うことは理解できるが、行き過ぎた完璧主義からは人の心が離れていくと私は思っています。結果的に自分自身の評価に跳ね返ってくるのではないかと思うのです。

いや、そう簡単に一言で片付けていいような問題ではないんですが。

繰り返しになりますが、内田光子がどんなピアノを選んでも、褒め称える人は褒め称えるし、けなす人はけなすでしょう。そしてアジア人ピアニストに対する偏見もあります。残念ながら。

今回の件は、手に入った情報を読んでいる限りは内田光子さんの出した結論にはあまり共感出来ないかな、と思っていますが、内田光子さんにはいろいろな意味で負けてほしくない、とも思っています。