クルターグ夫妻に送られたボルレッティ=ブイトーニ賞と、内田光子の笑顔について

2月19日は、ハンガリーの作曲家・ピアニストのジェルジュ・クルターグの誕生日で、マリア・クルターグ(妻)との結婚記念日でもあるそうです(70年目!)結婚70年というのは、ここによりますとプラチナ婚とか言うらしいですが、日本古来からある呼び方ではもちろんないのでしょうね。日本なら金婚式(50年)が最長。70年っていうのは本当になかなかないと思いますよ。

この2月19日に、クルターグ夫妻にボルレッティ=ブイトーニ賞が授与された事が発表されました(実際にブダペストで授与されたのは数週間前だそうです)。クルターグ夫妻になぜこの賞が贈られたのか、という点は、もちろん長年の音楽に関わる貢献、からなのでしょう。

この賞を創設したのはイタリアの富豪?夫妻ですが、夫のフランコ・ブイトーニ氏は2015年に亡くなっていて、奥さんのイラリア・ボルレッティ・ブイトーニさん(1955- )が一人になっても続けてきている。内田光子もこの賞に深く関わっています(この賞を受賞したことのあるピアニストからもそのように聞きました)。

ゾルタン・フェイエルヴァーリというハンガリー人ピアニストがその日の模様をブログにして書いています。さすがに夫妻は高齢ですからイラリア・ボルレッティ・ブイトーニさんと内田光子、この二人がこの賞のため数時間だけブダペストに滞在し、ブダペストのブダペスト・ミュージック・センターといところで授与が行われたとのことです。

ブダペストのブダペスト・ミュージック・センターとは、ホールあり、ジャズクラブ有り、リハーサル室有り、図書館あり、寮あり、住宅もあり、というところ。二人はここに住んでいるそうです。

Budapest Music Centre
http://bmc.hu/
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内田光子は(飛行機が遅れたが)到着して挨拶が終わるやいなやピアノの前に座り、モーツァルトのハ長調のソナタを弾いたそうです。ハ長調K545。子どもがいちばん始めに習うモーツァルトのソナタでしょう。弾き終わった内田光子は「本当にこのソナタはやさしいのでしょうか?一番難しいのよ!」と言ったと。

しかし内田光子のこの笑顔を見て下さい(上記フェイエルヴァーリの書いたブログより)。

こう、なんというのでしょう、堂々と言うのは恥ずかしくて憚られますが「滋味溢れる」とか、そういう言葉が似合う。あるいは「棘がない」。しばしば厳しいコメントをする同じ顔だとはとても思えない。尊敬する音楽家たちに囲まれ、外向けとか「よそ行きの顔」とでも言いましょうか、ガードの高さもこの時ばかりは姿をひそめている。うん、内田光子さんにもこういう瞬間があってしかるべきでしょう。(上からで大変申し訳ありません)

クルターグ夫妻には賞金3万ポンド(約420万円)が贈られたそうですが、二人はその賞金を何に使うんでしょう。おそらく自分のためではなく、若い音楽家とか、何かしら音楽のために使うのではないかと思います。

クルターグ夫妻と、素晴らしい笑顔の内田光子に、乾杯!