エフゲニー・キーシン自伝、読了(2回読んだ)

キーシンの自伝、積ん読が終了し、無事に読了しました。シンプルに言って、興奮する本でした。まだ読んでいないという人にもおすすめ。無体な難癖をつけるとすれば、お値段がほんのちょっとばかし、高いですかね(2,700円)。

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キーシンは文章を書いたりするのは無理なんじゃないかと勝手に想像していましたが、作曲も再び始めるようになった、という事が本書には書かれている。いろいろと新しい事に挑戦をしているのでしょう。結婚もしたしね。

自分の半生を系統立ててがっちりと構成、というよりも、思い出を細かく並べている感じ。その一つ一つのエピソードがいちいちおもしろいし得るものがあるんだな。

そして間違いなく誰もがもっとも興奮する瞬間は、帯にも書かれているカラヤンの一言のところでしょうね。「彼は天才だ」とカラヤンが言った、という箇所。そう、カラヤンにザルツブルクで初めて出会った時のエピソードは、燃える。激しく燃える。世界の頂点にいる巨人に会う直前はさすがのキーシンもめちゃくちゃに緊張したそうですが、そりゃあそうでしょうね。

このエピソードについてはこのしょうもないブログでその細かな内容のご紹介を試みるよりも、本を手にとって読め!と純粋に言いたい。音楽ファンなら、読め!と。鳥肌たちますよ。動転しているスピヴァコフがかわいく思えてきますよ。(スピヴァコフ知らない方のために念のため書いておきますと、現代ロシア音楽界の大ボスの一人です。ヴァイオリニストから指揮者へ。そして大ボスへ。)

この本は、音楽家や、音楽に関わる仕事をしている人たちにも、自分たちの姿勢を正すために読め!と言いたい。

クラシック音楽という芸術も、仕事として触れるようになると途端に俗になりがち。オーケストラの奏者とか、自分たちよりも遥かに素晴らしい演奏家が目の前にいても、すぐに「けなす」「おとしめようとする」「難癖をつける」んですよ。もっと謙虚になっていただきたい!指揮者の悪口、ソリストの悪口、言ってるんじゃないよ!!!・・・はっ、そう書いている自分は一体何者なのか。自分も謙虚になったらオーケストラ奏者の悪口なんて書けないね。と、自分を見つめ直すいい機会になりました。ありがとうキーシン。

ともかく、意外にキーシンは悪ガキ(?)の側面も持っていたのだ、とかいうような事もわかりますし、みなさまにおすすめ。さらさら読めますよ。