アムランが、ラン・ランの代役に立つとき(今夜、シアトルで)

マルク=アンドレ・アムラン、マニアに言わせればマルカンドレ・アムラン、このカナダの天才が、いまなお左手の直らないラン・ランの代役に立つ、今夜立つ、と聞いて軽く驚きました。

今夜の、この公演↓
https://www.seattlesymphony.org/concerttickets/calendar/2017-2018/symphony/da1b

ラン・ランとアムラン、全然タイプが違いますよ。ラン・ランは強いて言えばスーパースタータイプ、アムランは腕前は、マニアであればあるほど認めるウルトラスーパークラスだが、もっと存在が地味。地味なんですよ。アムランに問題があるとすれば、地味な点でしょうか。だから日本でも人気がないのか。

二枚目(男前)ではないし。ファッションモンスターでもないし。話題性にも事欠くし。

そんなこと言えばラン・ランだってイケメンではないけれども、行動が派手で、やることが派手。中国ではヒーローでしょう。オリンピックの開会式でピアノを弾くとかやってたし。何をしたって話題がついて回るスーパースター。腕が痛くても、ニュースになる。絵になる男。

かたやアムラン。どう考えてもラン・ランよりも4~5ランクぐらい存在は地味だね。演奏家としては(ひょっとすると)4~5ランク上かもしれないけれど。

というわけで、泣いても叫んでも、シアトルで、今夜ラン・ランの代わりに演奏するのは以下の曲目。どうだ!!

リスト:孤独の中の神の祝福
リスト:BACHの名による幻想曲とフーガ
フェインベルク:ピアノ・ソナ第4番
ドビュッシー:映像第1巻
ゴドフスキ:J.シュトラウスII世の主題による交響的変容「ワイン、女、歌」
リスト:ハンガリー狂詩曲第13番

どうだ!どうだ!!

・・・いや、やっぱ地味っす・・・・。

ラン・ランが弾きそうなレパートリーとは全然違います。フェインベルクとか弾かれてもラン・ラン目当ての客はわけわからなくて引くんじゃないの。これでよくお客も払い戻ししませんよね。シアトル・タイムズ紙によれば、ピアニスト変更による返券はあまりないそうです。アムランも、カナダの星ですからね、そういう地元愛も、あるのかな?

https://www.seattletimes.com/entertainment/classical-music/pianist-marc-andre-hamelin-fills-in-for-lang-lang-in-seattle-symphony-series/

なお、アムランは先日ブロンフマンの代役も務めた模様。うーむ、まるでスーパーサブ的な存在か。それでは困る。アムラン、もっと前面に出てきてくれよ。