緑の党で語るイゴール・レヴィット

イゴール・レヴィットはこの週末、ルツェルン・ピアノ音楽祭のオープニングコンサートで演奏したようで、その模様がほんの少しですが音楽祭のFacebookページにあげられていました。

例の、暗いアルバムの発売と合わせて行っているツアーです。話が飛びますが、その昔は、レコードやCDの録音というのは、ライブで回数を重ねて熟成度を上げていった最後にする、という作り方も多かったらしく(らしく、と、伝聞なのは、実際そうしていたかどうか、レコード業界にいたことがないのでわからないのです)、それで売れたから良かったのですが、今はCDを出したってちっとも売れないので、先に録音を済ましてリリースし、コンサートホールで同じプログラムのコンサートを演奏。終演後に即売会&サイン会、とこのようになっております。

それにしたって、会場ごとに数十枚しか売れないから、きついですよね。レヴィットみたいな人気者なら100枚以上売れるのかもしれませんが、年に50公演やってCDが各会場で100枚ずつ売れたとしても、たったの5000枚にしかなりませんからね。つらいところだなと思います。ストリーミングも、クラシックでは全然お金にならないそうですし。

ところでレヴィットはロシア生まれのドイツ育ちです。ドイツには移民の問題と、原子力発電の問題もありますが、レヴィットは移民政策のおかげで今の自分がある、と考えているので(実際そうなのでしょう)、移民政策の推進派です。最近、緑の党のライプツィヒでの党会議に出席し、このような事をいったそうです。(ソースはレブレヒトのブログ)

https://slippedisc.com/2018/11/germanys-green-party-acquires-a-piano-star/

‘Migration and integration are the most important issues for me, and I know what I’m talking about, because my parents came here with my sister and me, to rebuild their lives from scratch. Germany is my country, and that’s why I feel a fundamental obligation to open my mouth and take a stand.’

「移民と融和は私にとって一番大切な問題だ。私は自覚的にこの事を話すのだが、自分の両親、姉、そして私は、傷ついた生活を立て直すためにここにきた。ドイツこそが私の国であり、口を開いて立場をはっきりさせることは根源的な義務であると考える」

先日私もあるドイツ人のアーティストと雑談をしていて、メルケル首相の話とか移民の話とかをしましたけれど、その人は、移民問題は簡単ではないと言っていました。また電力の問題も、と。どちらの側にもそれぞれ言い分があって、間違っていないように思えるし、間違っているようにも思える。

また、話はずれますが、ドイツでは文化予算がたくさん出ていて、それにかなりの割合を頼って公演が実施されていますが、それは今後減少していくことは恐らく間違いがありません。そうなったときに立ちゆかなくなる団体が出てくる事が予想されます。その時、今後の音楽の未来は暗い、と嘆くだけではなく、その先を見越して動ける団体だけが生き残っていくのでしょう。月曜日から暗い話題になってしまいました。