マティアス・ゲルネのコンサートで、譜めくりトラブルが

譜めくりのトラブルと聞くとだまってはいられません。おなじみノーマン・レブレヒトのサイトに掲載されたニュース

早くiPadやその他のデバイスがもっと浸透すればいいのに、と思っています。いや、iPadは楽譜を読むには小さすぎるし、固まったらどうする、という意見もあります。わかります。・・・だれか永久的に譜めくり問題を解決してくれないか!(切なる声)

というわけで続けます。

マティアス・ゲルネ。ドイツの有名なバリトン歌手ですよ。2017年2月24日に起こった事件は以下の通り:ロンドンのウィグモアホールでのマティアス・ゲルネのリサイタルの時に、ピアニストの譜めくりをしていた人が(あくまで推測だそうですが)複数ページ一気にめくってしまったらしく、それに気付いたピアニストが演奏をやめて「仕事にならねえ」みたいな仕草をした、と。さらに、二人はドイツ語でもぞもぞと会話をし、ゲルネが譜めくり人にむかって英語で「ちゃんと仕事しろ」みたいな事を言った、と。

当日その場にいた人のコメントによりますと「正しいページをめくってよね。数字がついているだろ」とゲルネが言った。それに対して譜めくり人は「ただしいページをめくったと思ったんですが」という風に答えたそうです。以下原文:

“You have to turn to the right page. They have numbers, you know”. The page turner said “I thought I had turned to the right page”.

That’s no way to treat a page turner at the Wigmore Hall

おお、これこそナイトメア。失敗をしたのみならず、全聴衆にむかってその失敗を高らかに通告されてしまった。

「ただしいページをめくったと思ったんですが」・・・これはつらい。ものすごく消え入りそうな小さな声だったに違いない(勝手に想像してますが)。

あまり出来ることではありませんが急いでピアニストがもとのページにめくり直す、とか、同じ演奏を止めるにしても、「やってらんねえ」みたいなジェスチャーなしで、何事もなかったかのように最初からやり直せばもっとスマートでもあり、譜めくり人はそこまで強烈なダメージを受けなかったでしょうし、聴衆のテンションも落ちなかっただろうけれども。

譜めくりをする人間なら、絶対に失敗がゆるされない事は誰でも知っています。が、人間に絶対はない。また、譜めくりに関わる人間は、譜めくりがどんなに、「労多く、かつ、報われない仕事」であるかも知っています。完全なる裏方。なのに失敗したら好奇の目にさらされる。

これがテニスのボールボーイなら、うっかり転んだって誰も文句言わないですが、譜めくりの場合は断然状況が違う。そう、演奏が、止まる。責任重大。今回のこのケースはもう、最悪のパターン&最大のダメージ。譜めくり経験者ほぼ全員が「明日は我が身」と青くなって震え上がる話なのであった。

この譜めくりの方に若干だけ救いがあるとすれば、今回の場合は出演者側を非難する口調の方が強いようです。「そこまでしなくても」という感じ(コメント欄)。

もう少し詳しく読みたい方はこのブログもどうぞ:
http://www.schmopera.com/at-arms-length-goerne-hinterhauser-in-recital/