ルービンシュタインはカーネギーホールの舞台に何度立ったのか?

アルトゥール・ルービンシュタインのRCAの録音は本当に何枚も買って繰り返しきいたものでした。「大家」という言葉がよく似合う、堂々とした演奏。ショパンの「子守歌」の録音なんてもう、中・高校生の時に何回聴いたか・・・。

旅行者が道を尋ねて「カーネギーホールに行くにはどうしたらいいですか?」と聞いたところ「Practice, Practice, Practice 練習、練習、練習」と返って来たというジョークがありますがあればハイフェッツが言ったとかルービンシュタインが言ったとかミッシャ・エルマンが言ったとかタクシーの運転手だとか言われていますが真相は謎だとカーネギーホール自身がサイトの中で書いています。1950年代半ばには存在していたそうです。

ところでアルトゥール・ルービンシュタインは、カーネギーホールの舞台に何度立ったことがあるのでしょうか?答えは131回だそうです。カーネギーホールのFacebookにそう書いてありました。

もしやちゃんとしたアーカイブのページが、カーネギーホールにもあるのかも、と思い立ち、覗いてみたところ、ありました。ここです。

https://www.carnegiehall.org/PerformanceHistorySearch/

うん、さすがアメリカ。すごいですね。ありがたいですね。当時生きている人はもうこの世に一人もいないと思われるようなはるか昔の公演から、昨日まで。ばっちりです。

演目もだいたいちゃんとあって、もちろん誰でも読むことができます。ページ最下部に注釈がついていたりします。「アメリカ・デビュー」とか「最後の公演」とか「プログラム一部不明」とか「ニューヨーク・タイムズ紙の情報を元に掲載」(←紛失したんだ・・・)、とかあっておもしろい。アンコールもしっかり書かれています。

というわけで Arthur Rubinstein と名前を入力してみましょう。ずらっと出て来ますね。カーネギーホールのFacebook担当者もここを見て131と書いたのに違いない(勝手に断定)。おや、結果が138と出ますね。不思議だ・・・・と思って結果の最下部を見ると、ルービンシュタイントリビュート公演、とか書いてあるので、なるほど、こういうのはちゃんと除外したのだね。さすが。偉い偉い。・・・私はいったい何様なのだろうか。

一番古い公演は1906年フィラデルフィア管との共演でした。日本語のwikiでは1906年にアメリカでリサイタルデビューみたいなことが書かれていましたが、実際には協奏曲だったようです。批評家から叩かれた、というやつです。

個人的にぐっときたのは・・・これかな。モイセイヴィッチやオーンスタインやゴドフスキなどと一緒の舞台に立っているというやつ。1920年2月3日。

https://www.carnegiehall.org/widgets/opas/concert.aspx?id=11983

最後の注を読みますとAmpicoというメーカーのピアノロール(自動演奏ピアノ。こういうのです。)が、本人の演奏後にリピートしてみせたと思われる、と書かれている。公開録音コンサートでもいうべきものですね。むしろ出演者みんながピアノロールに興味津々だったのでしょう。

あと、意外に思うのですが、カーネギーホールが主催した公演は一つもないということ。ルービンシュタインもカーネギーホールで弾くときはオーケストラか、興行主が別にいてホールを借りてやっていたということらしいんですよ。ルービンシュタインクラスはさすがにホールの主催公演だっただろうと勝手に思っていたのですが。実に興味深い。

最後にYouTubeでも。音だけですが、ショパンの「子守歌」