ショパンの練習曲はエベレスト。しかしその先にあるものは。

ショパンの練習曲の難しさはいろいろな意味で最高ランクです。音楽的にも素晴らしい。

なので世の中の音大の入試にほぼ必ず出るのがショパンの練習曲。一般的な意味でピアノのテクニックをどこまで習得しているか、ということの客観的な指標となるのがショパンの練習曲なわけ。

全部で24曲あって(本当はもう3曲あるけれどもそこまで難しくない)その一つ一つがいわばエベレストのような難しさを誇っているわけです。

第1曲目は広範囲に飛び回る右手のアルペジオ。全部の音をきれいに当てることはほんとうに難しいです。基本的には黒鍵のないハ長調なんですが途中から黒鍵が出てきますし、黒鍵と白鍵をまたぎながらちゃんと演奏することは困難を極める。

・・・しかしこんな難しい曲を、音楽的な意味をほぼ無視してさらに馬鹿みたいに難しく書き直した人がいます。それがゴドフスキーです。アホです。どんなに贔屓目に見ても、ほぼ純粋にテクニック上の練習という風になっていて、聴いて感動することは100%ありませんが、やばいなやばいな!と腰を抜かすことはありえます。私も腰が抜けました。

しかし、ショパンのオリジナル作品のように素晴らしい芸術的な意味合いが感じられないから、取り組む事に意味を見いだせる人が少ない。しかし、ピアノを愛する人なら、ゴドフスキー版について知っていても損はないでしょう。

幸いなことに?デイヴィット・スタンホープDAVID STANHOPというイギリス人がその解説を試みています。1年半ぐらい前にアップロードされているこの映像は、一度みて損はないです。10-1の映像がこれ。最初にショパンのオリジナルを演奏してからゴドフスキーの書き直した2つのバージョンについて解説しながら演奏する!!

いや、やばすぎるでしょう。こんな曲を書く方も弾く方もぶっ飛んでいる!!

さあ、腕に自身のあるピアニストはゴドフスキー版に挑戦せよ!そしてゴドフスキーの偉大さにひれ伏せ!

ていうかこれ、弾けたとしてどんな意味があるんでしょうね。悩んじゃいますね!

これだけは確かです。ゴドフスキーの編曲したショパンの練習曲を全部一気に弾ける人は世の中にほとんどいません。160kmのストレートを投げられるピッチャーがほとんどいないのと同じです。そして、160kmの玉を投げられるピッチャーが凄いピッチャーかというと、そうではありません。

では、安心して、寝ましょう!