ドビュッシーの遺作を知っていますか

ハッピーバースデー!ドビュッシー!というメッセージがあちこちから流れてきて、ああ、と暗い気持ちになっています。8月22日が誕生日なんですよドビュッシーは。でも・・・死んだ人のバースデーを祝ってどうする。死んだ人は帰ってこないのだ。やれやれ、と村上春樹風に首を振って、ビールを何杯も飲んで、羊を探しにでかけるのです。私たちは。

中には100年前の今日、ドビュッシーは生まれました!っていう間違いも流れてきて(ドビュッシーは1862年8月22日生まれ、1918年3月25日死去です)もういちどやれやれ、と首を振って、ビールを何杯も飲んで世界の終わりへと旅に出るのです。

ところで皆さんはドビュッシーの遺作を知っていますか。長い間知られていなかった小品が2001年に発見されたのはご存知ですか。その名を「燃える炭火に照らされた夕べ」(Les soirs illuminés par l’ardeur du charbon)と言います。

ドビュッシーは1918年の3月に亡くなっていますが、この曲は1917年の2月から3月ごろに書かれたといわれています。一年ぐらい作曲せずに亡くなっているんですね。楽譜とかこの曲にまつわるストーリーとかは以下の日本語で読めるページに詳しく書かれているのでお読みください。

https://blog.goo.ne.jp/pianist-gensegawa/e/7d2f649a48ee5591fb02a945f6ede8f2

で、音楽はこんな感じ。

聴き始めた瞬間にあれっ?て思いますよね。「音と香りは夕暮れの大気に漂う」っていう曲にそっくりだから。ピアニストが間違ったのかと思いますよね。

聴き進めていくと「カノープ」と「交代する3度」も聞こえてくる。ピティナのページにも書いてあるよ。これは引用ですよね。自作を引用する。まるで大江健三郎のようだ。

作曲の経緯が、炭商人のおねだりだったそうなので、めんどくさくなったのか、それとも、もう作曲の意欲が枯れていたのか。不思議な感じがしてもどかしい曲ですが、やっぱり「音と香り~」は原曲に限るよねやっぱり。あれは最高の傑作だ。

みなさんはドビュッシーのピアノ曲ではどの曲がお好きですか?私は「音と香り~」か「アナカプリの丘」ですかね。