カルロス・クライバーだってミスをする

※2019.2.28.19:05追記 本日のブログに関して、歌手がミスったのであってクライバーの振り間違いではないというコメントを頂戴しました。明日のブログで改めて書かせていただきますがおそらくご指摘のとおりではないかと思います。お詫び申し上げます。

※2019.03.01.11:30追記 訂正のブログを掲載いたしましたので以下よりお読みください。

https://www.nemo2sha.com/kleiber-no-mistake/ 

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指揮者は大変な職業であると昨日のブログにも書きましたが、今朝二日酔い気味の頭を起こすべくぼんやりと寝床でスマホをいじっておりましたところ流れてきました動画。それがカルロス・クライバーの失敗動画であります。投稿されたのは2年ぐらい前みたいなんでご存知の方も多いかもしれません。

ピアニストにとっての大きな不幸に本番中のミスタッチ、あるいは暗譜忘れというものがございます。そして指揮者にとっての本番中の最大の不幸の一つ、それは振り間違えでございましょう。

ピアニストと同様、指揮者も暗譜で演奏することがしばしばあります。暗譜での演奏が良い指揮者の条件のように思われているところも、いまでもあるとは思いますが、ひとそれぞれなんですよね。トスカニーニも言ってなかったか、自分は記憶力が良くて暗譜で振れるけどそれが無理なら楽譜みたらいいじゃない、的なことを。

まあ今回のこの動画が楽譜を見ていなかったことに絶対的に起因するのかどうかは疑問なのでございますが、ともかくカルロスったら、振り間違えちゃったんですよ。1分ぐらいの動画なんでぜひ大音量でご覧ください。紹介文によればウィーン国立歌劇場、1994年だそうです。舞台袖とかにあるモニター用(オペラハウスでは、指揮者の動きが誰からも見えるよう、指揮者だけを映すモニターが何か所かにおいてあるのです)の映像かと思います。

うわ恥ずかしい、って本人動揺してますよね。ハラキリ風の仕草のみならずコンマス界隈に向かって何やら喋りかけている。照れ隠し照れ隠し。ニンニン、であります。恥ずかしすぎる!映ってないけどオケのメンバーは苦笑いしていたことでございましょう。自分がカルロスだったらその場で指揮をやめておうち帰って風呂入って寝るわ。

カルロス・クライバーはめちゃくちゃ難しい人だったことでも知られていますけれど、なんせ才能と努力が半端なかったのと、こういうおちゃめな部分もあったから愛されていたのでございましょう。

私がかつて仕事を共にしたことのある元バイエルン国立歌劇場のホルン奏者(のちベルリン・フィルのホルン奏者)クラウス・ワーレンドルフが言っていた言葉が印象的でした。「私の長いオーケストラ人生においてloveという言葉を使える指揮者はカルロス・クライバーただ一人しかいない。彼の指揮で数えきれない回数演奏できたことは自分の宝である」と。

というわけで、そんじょそこらの指揮者が振り間違えたら、それがたとえ一回目であろうとお客様に気が付かれなかったとしても終演後に団員から事務局側に苦情がそれ行けっとばかりに殺到するのでございますが、カルロス・クライバーの場合はそうではなかったのでしょう。

・・・・と信じたい。あいうえお。