ショパンのバラードについて語るアンスネス

今月、バラード4曲を含むアルバムをリリースしたアンスネスがそのプロモーション活動の一環としてニューヨーク・タイムズのインタビューに答えている記事。今月の7日に出た記事なのですが、積ん読にしておいて、ようやく今朝読みました。

https://www.nytimes.com/2018/09/07/arts/music/leif-ove-andsnes-chopin.html

驚いたのは、バラード第4番をアンスネスが弾くようになったのは7年前だったとのこと。かなり広範なレパートリーを持ち、いろいろショパンも録音し演奏してきたこの人が4番をものにしたのがそんなに遅かったのかと、そういう驚き。もちろん技術的には10代の後半頃には弾くことができたのでしょうが、まだ自分には弾けないと思っているうちに時間が経ってしまったようです。その気持わかるな。

12歳のときに、カセットテープで(誰の演奏かはこのインタビューでは触れられていません)、バラードに出会い、圧倒されたと言っています。うむ、それはそれは素晴らしい出会いだったんでしょうなあ。

アンスネスによれば4番のバラードは「ロマン派のピアノ音楽の頂点」だということですが理解できるわあ。わかるわあ。4番のバラードの素晴らしさはもう例えようがないですよね。私もショパンの全作品の中で一番好きかもしれない。ものすごく複雑で、効果的で、激ムズだけれども技術に走っていなくて音楽と一致していて、しかもメロディーも美しい、とかどこをとっても完璧じゃないですか。

この曲を弾くようになってしばらくは、弾く前に涙を堪えることができなかった、という驚きの発言もしていますが、それもわかるわあ(共感ばっかりして申し訳ありません)。1番が4番より劣っているわけではない、というコメントもすごくよくわかるわあ。1番も最高っすよね(共感ばっかりして申し訳ないです)

いやショパンはやっぱり天才中の天才なんですよ。あの魔法のようなピアノ音楽(特にバラード4番)に触れたらもう絡め取られて、逃げることはできないのです。

というわけでツィメルマンが素晴らしくうまく弾くバラード4番とかを聞きながらよい午後をお過ごしください。アンスネスの新録音はネットでは聴けないから。