ユジャ・ワンの最新インタビュー(英国ガーディアン紙)より

日本人は「生意気」というのをあまり好まないかもしれませんが、実力が伴っていれば、それだけをとって悪、とすることではないと思います(生意気な人とは仕事ではあまり関わりあいたくないけれど。てへ)。

生意気とは違うかもしれませんが、スティーブ・ジョブズがものすごく大変で面倒な人だったことは知られています。しかしジョブズがいなければiPhoneはあんなすごいものにはならなかったでしょう。

そこでご登場いただきましょう。ユジャ・ワン。ユジャ・ワンはクラシック音楽界においていま最も生意気な存在でしょう。言いたいことはかまわず言うし、悪口も躊躇がないし、やりたいようにピアノを弾くし、衣装もすごいし。

しかし、ユジャ・ワンは現代のトップアーティストであることはみなさん、認めましょう。(できれば仕事のパートナーとして関わりをもちたくないかもしれない、とはぼんやりと思いますが、でも見聞きしている分にはとても興味深い。そもそも接点ありませんし。ご関係者のみなさま、お疲れ様です!!)

イギリスのガーディアンに2017年4月9日に掲載されたインタビュー記事もまた、大変興味深い。興味深かったところをかいつまんで書いてみましょう。

・曲目を変えることについて。「だって2年後に自分何を弾くかなんてわからないじゃないの。適当にプログラムには作曲家の名前を書いておくだけよ。」「聴衆は怒ったりもするけど、でもたくさん私アンコール弾くから」。

そうクラシック音楽はプログラムが死ぬほど大事なんですよ。ベートーヴェンのハンマークラヴィーア・ソナタを弾く、ユジャ・ワンが、ということを前提にお客さんはチケットを買うので、それが変わったら烈火の如く起こる人もいる。その気持もわからないではないですが、でも本人がいま一番いいと思っているものを弾くのも、ありだと思うんですよね。

プログラムは当日発表、みたいなピアニストもいましたが、それでも聞きたい、と広く思ってもらえた者勝ちかと思います。ゴーゴー・ユジャ!

でも、アンコールたくさん弾くから、ってさすがにそこには飛躍と無理を感じます。爆笑。

・ママはダンサー、パパは打楽器奏者。コアなファンはご存知なのでしょうが、初めて知りました。打楽器奏者というのは、あれですかね、中国の楽器なのか、あるいはクラシック音楽の打楽器奏者を指すのか。ご存じの方教えてください。

・フィレンツェの教会で服装の注意を受けたことについて:確かイタリアの教会とかって、短いスカートでは入れなかったりしますよね。ノースリーブもだめ。個人的にもそれはいかがなものかと思っていますが、さすがにユジャ・ワンみたいに、係員?に「その服装はキリストに対して不敬です」と注意されたからと言って「Fワード」(4文字の、みなさんご存知の、子供に教えたくないナンバーワンの汚い英語です)で罵倒することはしないかな・・・。

・ブレイクのきっかけは2007年のアルゲリッチの代役だったこと。これも知りませんでした。意外と私、ユジャ・ワンについて知らないですね。自伝出れば読みたいけど、出すタイプじゃないですよね。とかいって、キーシンも出しちゃったし、そのうち出るかも。いや、誰かが出すかも。出たら絶対読むので、誰かおねがいします。

・「ショパンの前奏曲は中国の書道のようだ。シンプルに見える文字の方が書くのが難しい」・・・この言葉好きです。いいね。

そのほか、ちょっときわどい発言も含む全文は以下からどうぞ。

https://www.theguardian.com/music/2017/apr/09/yuja-wang-piano-interview-fiona-maddocks-royal-festival-hall

蛇足ですが、インタビューをしている人がユジャ・ワンを擁護して、女性テニスプレーヤーよりもずっともっと身体を覆っている、と書いているのには笑いました。そこって比較する対象なのか・・!