アンドラーシュ・シフとベーゼンドルファー

世界3大ピアノメーカーなる言葉があります。スタインウェイ(NY&ハンブルク)、ベーゼンドルファー(ウィーン)、ベヒシュタイン(ベルリン)。でもこれは過去のものになりつつあります。完全に現状はスタインウェイの一人勝ち状態(でも経営は苦しいらしい)。

世の中のホールの大多数がスタインウェイを備えていますが、ベーゼンドルファーやベヒシュタインを所持しているホールはすごく少ないでしょう。

なお家庭用の楽器の場合、世界的に見てヤマハやカワイが多いはず。ヤマハのピアノ生産台数は抜きん出ています。

都内にもベーゼンドルファーのあるホールがありますが、あまり使われていないのではないでしょうか。例えばオペラシティとか、たとえば杉並公会堂とかにありますが。

現代を代表するピアニストの一人、アンドラーシュ・シフはベーゼンドルファーを好んで演奏する人で、オペラシティで弾くときはいつもホール所有のベーゼンドルファー。楽器を選定したのもたしかシフ自身。

今度シフはBBCプロムスで昨年出たばかりの新しいベーゼンドルファー280VCというモデルを弾いたそうです。この記事。VCはVienna Concert の略、ウィーン・コンサート・グランドっていう意味でしょうね。

楽器の紹介映像はこれとか。日本語字幕付き:

この映像でくねくねしながらピアノ弾いている人は・・・誰だろう?ナレ・アルガマニヤンかな?と思っていたら当たりました。ドイツのシュミットに所属しているピアニストですよ。

シュミットのページ:
http://www.kdschmid.de/artistdetail/items/nareh-arghamanyan.html

実際に弾いた方の感想によると、ベーゼンドルファーらしさが後退した、という噂もありますが、実際のところどうなのでしょう。気になるところ。ベーゼンドルファーって、何と言うかこう、ざっくり言って「もっさり」しているんですよね。それがどういう風に変化しているのでしょうか。弾いてみたいですね。

ベーゼンドルファーのコンサートグランドといえばインペリアルという楽器が有名。インペリアルは鍵盤の数が多いんですよ。低音が多い。普通のピアノにはない低い音があります。そこの音程のところは黒く色塗りされていたりします。そのためだかどうだか、低音を弾くときにうっかり違う音を弾いてしまいがち(ただし低音は音程が聴き取りにくいのであまりきにすることはないかもしれない)。

話がどんどん飛んでいきますが、ドビュッシーの「喜びの島」という曲があります。この曲は最後高速で両手を交差させてピアノの最低音を強打するんですが、これが心臓に宜しくありません。

最後の音が外れるんですよ。左に行きすぎてスカっ!ってなるんですよね。インペリアルだとこのミスが防げますね!!(防げるわけではないが、音はとりあえず出る)。

実は一度だけ、私も生で「喜びの島の悲劇」を聴いたことがあります。ずっこけますね。弾いている本人は顔が真っ赤になるぐらい恥ずかしい。うんうん、わかるよ、と、この曲を知っているあなたなら、笑って流していただけることでしょう。

話がずれていきましたなあ。280VCいい楽器なのかなあ。