ポリーニが(自分では弾かないが)好きな曲とは

ポリーニの、恐らくちょっと前のもの(1年前とか2年前とか)だと思うのですがインタビューを読みました。スタインウェイのサイトの上の方に掲載されているものです(英語)。

http://www.steinway.com/news/features/illuminating-the-masters

ポリーニは、“完璧なテクニック”とか称された時代は「完璧に」終わっていて、どちらかといえば重力を感じさせないような、ふわふわとした、捉えどころのないような音楽をつくるようになっています。<ザ・ミスタッチ&音抜けの嵐>みたいな演奏。そこに何を見出すかは、いろいろな意見があると思いますが、今も世界中の重要なホールでリサイタルをし、協奏曲を弾いています。

このインタビューで特に面白かったのが「一番好きなピアノソロ作品をおしえて」という質問に対する答え。

こういう質問をされたとき、人は、とまどうものだと思います。何の臆面もなく「ショパンの幻想ポロネーズ!」とか、ブラームスの118-1!とか言えてしまう人が、じつはひそかに羨ましく思えたりもします。躊躇なく断言できるのは羨ましい(嫌みとかでなく)。気になる女子にもストレートに「好きだ」と言った方がいいですよ、うん。多分。・・・・でも好きな曲言ってくれよと言われたって考え込んじゃうよね普通。まあブラームス118-1とか言う人もいないと思うけどね。

ポリーニもさすがに逡巡したと思うんですけど、例えば自分はほとんど弾かないけど、、、と言って切り出すのが「ラヴェル」という名前。たしかにラヴェルとポリーニってあまり接点ないような気がしますね。鏡とか何度かコンサートで弾いたことがあるし、ニューヨークでは(このインタビューはニューヨークで行われたそうです)夜のガスパールを弾いたこともあるね・・・。と言っています。

そうかポリーニはラヴェルが好きだったのか。ラヴェル・・・いま、パリ郊外のラヴェルがかつて住んでいた家(ミュージアムになっている)が突然無期限閉鎖されたらしくて問題になってますよね。利権?とかそういう問題みたいですが。ボレロとかそれは莫大な富を産んだのでしょうから、本人の遺志とは無関係に利権者がよってたかって悪いことをしているという噂。残念なことにお金が天才の周囲の人を駄目にした例の一つ、なのでしょう。

ポリーニは自分はやっぱり弾かないけど、スカルラッティも好きだ、と言っています。ホロヴィッツの演奏が好きだ、とも。みんなホロヴィッツが好きなのさ。