映画仕立て、ヴィキングル・オラフソンのバッハ

ヴィキングル・オラフソンは先日も東京にきて、素晴らしい演奏したようです。招聘したのはエイベックス・クラシックス。・・・ってちょっとまった!オラフソンはドイツ・グラモフォンから録音をリリースしている。なのになぜエイベックス?エイベックスのアーティストではないのにエイベックスがピアニストを呼んできて、主催公演をしてしまったという、なんとも不思議な話。

これです(もう終了した公演です):
https://avex.jp/classics/vikingur2018/

うむ、これも現代ならではといったところでしょうか。CDレーベルというジャンルを超えて、アーティストを呼んでしまうという面白さ。よほど好きなんでしょうね。面白いですね。昔だったらこんなこと絶対になかったと思いますよ。

というわけでレーベルの垣根を超えて来るエイベックスにはちょっと注目したほうがいいような気がしています。こういう面白いことをしてくるのだから、自由にこれからも、いわゆる思い込みとか固定観念とか、そういうものをぶち壊して面白いことを提供してくれるんではないかと期待してしまいます。

ところでそのヴィキングル・オラフソンの新しいアルバムはバッハなんですが、超有名な曲からマイナーな曲まで揃っていますね。いや、それよりもこの映像を御覧いただきたい。平均律からの、ジロティ編曲の前奏曲。

まるで映画のようだ。鄙びた港町(?)の食品加工会社で働く中年男性の悲哀のようなものが描かれています。撮影は工場の中。お魚とにらめっこしたり、ボートで漕ぎ出してみたり。最後の微笑みはなんかいまいちに感じましたけれど、でも、工場とバッハって、合うよね。

バッハを弾くとなるとどうしてもグールドと比較されちゃいますけれど、そして本人としても、漏れ聞くところによると、自分の名前はまだそれほど出ていないわけだから(有名になっていないわけだから)、ある程度はしょうがないと思っている節もあるようですが、最終的にはオラフソン、という名前でやっていきたいでしょう。素晴らしいピアニストだと思うのでみなさんも注目してください。この人はこれからさらに出てくる可能性を秘めている。

またエイベックスが呼んでくれることを期待。そしたらみんなで聴きに行こうぜ!