スター・ピアニストはどうやって生まれるのか

スター・ピアニストって、どうやって生まれるのでしょうか。生まれ持っての才能と努力、これがまずは必須の条件ですよね。努力すなわち長時間の練習、勉強が必須。

世の中を牽引する人は、どんなジャンルであれ普通の人よりもはるかに長時間仕事してるし努力してますよね。一時的につらいことがあったとしても、全体的にはそれが楽しくてしょうがないのだと思います。

嫌なことは絶対にやりたくないが楽しいことなら何時間でも何日でも没頭できる。世の中を牽引する人たちは自分の仕事が楽しくてしょうがない、だからそれに関して力を注ぐのは努力でもなんでもなくて自然なことなのである。って感じですか。

ピアノの世界でもそうで、新しい曲、新しいテクニック、新しい解釈(そんなもんもうないわと言われるのであれば、自分にとって腑に落ちる個人的に新鮮な解釈)、そういうものを見つけて行くのが楽しくてしょうがない、のみならずそれを自分のものとしていく才能を持った人たちがスターになる可能性を秘めている。

いい先生、メンターに出会うこととか、時の運もありますけれど、圧倒的な努力と才能があればいい先生に出会う(引き合わせてもらえる)確率も上がるし、運も引き寄せられやすいのかもしれません。

最後に、スターは周りの人たちが作っていくという事もあると思いませんか。あの人はスターだ、と誰かが言い始めれば、どんどん雪だるま式に同じ事を言う人が増えていく。それが本人の耳にも入ればますます本人その気になっていく。オーラをまとっていく。言葉は良くないが、ここには「思い込み、勘違い」という要素も少しはブレンドされているでしょう。「そうか私はスターなのだ」という思い込み、勘違い。それがさらにスターに自信を与え、スターとしての価値を底上げするのではないかと思うんですよね。

ともかく、ほんとうにいろいろな要素があってスターは生まれていくんだと思うのですよ。我らが内田光子様もそんな感じでぐんぐんと登って行ったのではないかと想像しています。真実ではないかもしれないけれど、そう遠くもないと思います。

さて、いま日本の若いピアニストで世界のスターになりうる可能性のある人は誰でしょうか。残念ながらこの人、という人がいないかもしれません。

でも一人挙げるとすれば、辻井伸行さんでしょうか。ヴァン・クライバーン国際で優勝した人は大成しない、という中村紘子さんの呪いのような言葉がありますが、打破して欲しいと思います。

今月末はロンドンのサウスバンク・センターでリサイタルを開催。毎年サウス・バンクセンターが主催で開催している「インターナショナル・ピアニスト・シリーズ」にデビューなのであります。今シーズンこのシリーズに出ているのはエマールとかポリーニとかルガンスキーとかそういう面々です。

https://www.southbankcentre.co.uk/whats-on/122017-nobuyuki-tsujii-satie-debussy-chopin-2019

同じ日本人として、ますます活躍の場を広げて行って欲しいと思いますね。