ゲルギエフならやってくれる。プロコフィエフのピアノ協奏曲を全部を一晩で(またしても)。

前にこのブログで、ミュンヘンでゲルギエフがプロコフィエフ協奏曲の全曲演奏会マラソンコンサートを開催したという話を書きまたけれど、来月(2016年2月24日水曜日)はニューヨークのブルックリンで、ピアノ協奏曲全5曲をやるようです。

公演会場BAMのサイト
http://www.bam.org/music/2016/folk-form-and-fire-the-prokofiev-piano-concertos

5曲とも違うソリストで、前回ミュンヘンの出演者は一人も出ておりません。今回は純粋に協奏曲だけなので、身体への負担は少ない(そういう問題でもないか)。会場であるブルックリンのBAMのサイトによりますと以下の通り

今回のソリストを眺めてみましょう

Piano Concerto No. 1: George Li ジョージ・リー
Piano Concerto No. 2: Alexander Toradze アレクサンドル・トラーゼ
Piano Concerto No. 3: Daniil Trifonov ダニール・トリフォノフ
Piano Concerto No. 4: Sergei Redkin セルゲイ・レーディキン
Piano Concerto No. 5: Sergei Babayan セルゲイ・ババヤン

なかなかすごい顔ぶれです。「ゲルギエフから招待をもらったら絶対に断れない」と誰かから聞いた気がします。ミュンヘンの時もそうでしたが、ゲルギエフだからこそ集められる名前、と言っていいのかも。

ジョージ・リーとセルゲイ・レーディキンは去年のチャイコフスキー国際コンクールの入賞者。トラーゼはジョージアの巨人(この人の弾くプロコフィエフはやばいですよ。聴いたことない人は今すぐ聴いたほうがいい)。ババヤンは浜松国際ピアノコンクールで優勝していたり審査員をしていたりするのでご存知の方も多いのではないかと。トリフォノフの先生で、トリフォノフとの共演も時々しています。で、トリフォノフは2011年チャイコフスキー国際コンクールで優勝している、と。

ゲルギエフのスケジュールを、例によってアメリカのマリインスキーのサイトで見ますと(我ながら好きだな)、前日の夜は、ブダペストでウィーン・フィルを振っている・・・。バカな!さすがゲルギエフ。マリインスキーのサイトには20:00と出ているがホールのサイトには19:30なのでこっちが正しいでしょう。

ゲルギエフのスケジュールは、まあなんとかなる感じ

ブダペストとニューヨークとは6時間の時差があります。ニューヨークが6時間遅い。ゲルギエフだからプライベートジェットでしょうが、普通に飛行機に乗っていくと、11時間20分かかる。

ブダペストは19:30開演だから22:00にはホール出られますよね。もちろんサイン会なんて無しだぜ(多分)。23時に飛行機に乗って、仮に12時間ぐらいかかったとしても、ニューヨークにはどんなに遅くとも早朝5時ぐらいに着けます。なるほど。朝からリハーサルがゆっくり出来るな。休息はジェットの中でとるとして。

10時から5人リハーサルしても、実質の演奏時間は2時間ちょっとぐらいですから、4時間もあればOKでしょう。お昼や休憩を挟んでリハーサルに計6時間必要だったとしても、夕方4時にはリハーサル終了。十分間に合います。

余裕だな。素晴らしい。

・・・・素晴らしい?普通こんな無茶なスケジュールは考えないものですが、ゲルギエフなら出来る。ゲルギエフだから、できる。あえて心配な事を挙げるとすれば雪ぐらいですか。雪で空港が閉鎖されたらどうするんだろう。

なお、オーケストラはこの公演のためにニューヨークに行くわけではなく、マリインスキー劇場バレエ団が、このあと同じ劇場BAMで4日間の公演をする予定になっています。たぶんこっちが先に決まっていて、後からゲルギエフが、もう一公演出来るじゃん、とか無茶振りを言い出したんだと思います。

こういう時に無茶がきいて何とかなってしまうのが、ロシアのメンタリティーではないかと思うのです。チケットもかなり売れているみたいですし(下のキャプチャ画像が今の一階席の売れ行き。けっこう売れてますね)、万々歳でしょう。

ureyuki