ベートーヴェンの音叉(おんさ)

ピアノのファンなら当然、ベートーヴェンのことも好きなのに違いない、という前提で本日の話を始めます。

はい、みなさま、ベートーヴェンはお好きだと思います。ベートーヴェンの耳は、どんどんと悪くなっていきやがて完全に聞こえなくなった、ということもご存じだと思います。そのベートーヴェンが友達にあげたという音叉(おんさ)が大英図書館にあるらしいんですよ。

その「音」というのが、インターネット上で公開されているらしいと聞いて、ベートーヴェン好きを自認する我々も急いで聞きに行ってきました。

このページの下の方のSOUNDCLOUDの再生ボタンを押すと音が聞けます。
http://blogs.bl.uk/music/2017/03/beethovens-tuning-fork.html

素晴らしく美しい音色だ・・・とかそういう感慨は、私の心が汚れてしまっているのか、一切湧かないのですが、でも、なんかこう、歴史を感じるみたいな?音がするような、気はいたしました。少しだけ。

ベートーヴェンの手から、クロイツェル・ソナタの初演を果たしたブリッジタワーというイギリス人の手に渡り、ホルストやらヴォーン=ウィリアムズやらの手にわたったのち、ヴォーン=ウィリアムズの奥様だった方から大英図書館に寄贈された、と。

しかしおもしろい事にこの音叉、音が高いんですって。絶対音感をお持ちの方あるいは管楽器弦楽器の皆様はすぐおわかりになることでしょう。

455.4ヘルツらしいのです。調べてみてわかったのですが(こことかご覧下さい)当時のイギリスではこれぐらいのピッチだったそうです。一方ウィーンでは433だったとか。なのでベートーヴェンはあえて455のこの高い音叉をあげたんだな、という事がわかって面白いです。

果たしてウィーンでの初演の時はどっちのピッチで演奏したのでしょうね。たぶん低いウィーンのピッチでしょうね。じゃなきゃあ、調律師は大変だ。

なお、いま日本の音楽界はだいたい442が普通です。ヨーロッパのオーケストラは時としてそれよりも高いことがあるので要注意です(注意したところでどうかなるわけではありませんけれどもね!)。