【ピアノの技術1】オクターブの技術

オクターブ演奏は、燃える。強烈なオクターブ演奏を聴けば、ますます燃える。

ピアノの技術の最高におもしろいものの、一つ、それがオクターブ連打です。いろいろな教則本にオクターブをいかに楽に弾くか、ということが書かれている、それほどに重要なテクニックです。

先に言っておくと、ほとんどの人はオクターブ高速連打が出来ません。なぜならほとんどの場合、親指に余計な力を入れてしまい、すぐに腕が痛くなってしまうからです。

いや、オクターブひとつなら、それ自体はそれほど問題にはならいかもしれないけれど、オクターブの高速連打、これが鬼門なんですよね。

オクターブの連続演奏に必要なもの、それは「脱力」です。

いかにして力を抜きながら最大限の効果を生み出すか、ということが必要です。特に親指は他の指とは違う向きについていますから、オクターブ演奏において力を抜くのは親指の力をいかに抜けるか、これにかかっているようにも思います。

というわけで今日はオクターブを聴きましょう。

まずはオクターブ連打といえばこれ、リストのハンガリー狂詩曲第6番の音源。ホロヴィッツ、アルゲリッチ、シフラの演奏が一気に聴けます。

やばいな。こんな連続して高速オクターブ、弾けないよ。すごいテクニックですよ。親指の脱力ですよ。やせ我慢では弾けません。シフラはちょっと力技で強引にねじ伏せてる感じがしますけど、アルゲリッチとホロヴィッツの脱力感は異常ですね。

え、そんなに早くないよね、と思ったあなた、すいません、それはまちがいです。これは人間の限界に挑んでいる曲なんですよ。世界最高の天才と言われた人たちでこのスピードなんです。これ以上は早く弾けないんです。脱力の限界を超えてしまって、手が痛くてしょうがなくなるから。

でも、どうしてももっと早いのが聴きたいというあなたのため、そう、あなたのためにインポッシブルな動画をご用意いたしました。アレクセイ・グリュニュクの演奏です。

これ以上は早いのは今のところ無いのではないでしょうか。もっと早い演奏をご存知でしたらお教えて下さい。

ちなみにあの有名なショパンの「英雄ポロネーズ」にもオクターブ連打があります。

半分より後ぐらいに出てくる左手オクターブの連打。しかしこれはリストほど悲惨な難しさではありません。ある程度練習をすれば誰でも弾けます。

で、もっとも暴力的なオクターブはなんだろうか、ということで考えて最初におそらく出てくるのはやっぱりリストですが、その「葬送」あたりですかね。途中で左手のオクターブが出てくるのですが、これがもう暴力的としかいいようがないわけ。

下にアルゲリッチの映像を貼り付けておきます。これはいろいろ勉強になる映像です。

まず冒頭の左手の動きにも注目です。(オクターブではないですけれど)左手がベース音をがーん!と鳴らします。ここ、小指でチョップ!ウラ―!っとチョップしております。チョップでいいのかよ、と思うのですが、いいんです。

さらには、その少し後に中指と薬指の2本の指を使ってオクターブを演奏していていたりして、オクターブ演奏にもいろんなテクニックがあるのだな、と理解できます。

みんな、親指を脱力しようぜ!

というわけで最後にもう一個、おまけ映像を。難しいオクターヴのシーンだけを集めまくった映像です。一時間以上あるよ。楽譜もついているのでわりと飽きずに聴けますよ。

ベルマンとかジョセフ・レヴィーンとか、そうだよね、という名前が出てきますし、ミケランジェリとか、ブレンデルとか、へー、というような、いわゆる技巧派と呼ばれる人たちではない名前もあっておもしろい。

派手に聞こえる曲もたくさんありますが、派手だからと言ってオクターブが難しいというわけではありません。あと、スピードは早いけどミスも多い、という演奏もあります。

オクターブをいかに「早く」「クリーンに」弾けるか、それがピアニストにとっての永遠の課題なのだ。

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