ニューヨーク・タイムズ紙のホロヴィッツ追悼記事から(1)

ニューヨーク・タイムズ紙はオンライン上で昔の記事を読むことが出来ます。購読をしてない人は月に10本の記事しか読めない、という制限がつく(と思う)のですが、まあそれほどたくさん読まないよね、ハハハ。英語で読むのって集中力がいりますし、読むスピードも日本語に比べて劇的に遅くなりますし。

なぜこういう話を書くかというと、ホロヴィッツについて昨日調べていましたら、ハロルド・ショーンバーグというニューヨーク・タイムズ紙で長年音楽批評をしていた超有名な批評家のホロヴィッツ追悼の記事が出てきたからなんですよ。それが以下

Vladimir Horowitz: Thunder, Lightning and Awe 「ホロヴィッツ、雷鳴、電光、畏敬の念を抱かせる存在」といった意味です
http://www.nytimes.com/1989/11/12/arts/vladimir-horowitz-thunder-lightning-and-awe.html

この記事の日付は1989年11月12日とありますからホロヴィッツが死んで約1週間後です。

思い入れのたっぷりつまったセンチメンタルな文章です。ホロヴィッツには何度もインタビューをしたとあります。そうでしょう、そうでしょう。インタビューの時の様子とかも書かれています。ものすごく面白い文章でした。

そういうわけなので、気になった言葉を今日から何回かにわけてピックアップしてみます。

He was a fabulous sight-reader who generally read four or five measures at a gulp, no matter how difficult the music. That made life difficult for his page turners. I know. I turned for him several times, once while he was reading a set of virtuoso etudes by Moscheles at home. At one point he broke down. He giggled. ”Ooh! This is hard!” He played the passage slowly, just once, and then rattled it off as though he had been playing it all his life.

ホロヴィッツは譜読みの能力が素晴らしく、どんな難しい楽譜でも4,5小節は一気につかみとることができた。なのでホロヴィッツの譜めくりは非常に難しい。そう、私は彼の譜めくりを何度かやったことがある。一度私はホロヴィッツの自宅でモシェレスのショーピースの譜めくりをした。ある箇所で、ホロヴィッツはうまく弾けなかった。ホロヴィッツはくすくす笑って言った「オー、これは難しい」、一度だけそのパッセージをゆっくりとひき、そしてその後、まるで昔からずっと知っているかのようにスラスラと弾ききった。

やはりホロヴィッツは我々のスーパーアイドルなのです。ピアノを弾いたことのある方ならお分かりになると思いますが、譜読み(知らない曲の楽譜を見ながら演奏すること)って、ものすごく大変ですし難しいです。どんな難しい曲でも4,5小節を一気に読める、しかも難しいパッセージでもちょっと1度引き直せば完璧に弾けるだなんて、それはもうちょっと常人には考えられないです、うらやましすぎて鼻血がブー!!っと出ます。