初心者からのディアベリ1(テーマ):あ、チャンチャンチャンの、チャン

今日からディアベリ変奏曲の解説を一気にしていきます。ディアベリ変奏曲、基本的にめちゃ楽しいんですよ。

そうは言っても、いわゆる普通の真面目な解説はしません。そういう解説は山のようにありますから。私たちが手掛けるのは、もっとわかりやすくて愉快な解説。これを読めばディアベリ変奏曲も絶対にわかります(絶対にわかる、と書くと反発を受けそうですが)。

さあ、ポチッと再生。まずはテーマ(主題)

ディアベリ変奏曲を聴いたことのない方がいたとします。この大きな作品を目の前にして、さあ、聴こうか!と気合を入れてポチッと、CDの再生ボタンなり、レコードの針を落としたり、PCでクリックしたり、スマホやタブレットをタップしたりしますよね(前置きが長い)。

さあ来い!!来いよ!と身構えたところに聞こえてくるのは・・・。なんとも間が抜けたチャンチャンチャンッあらよっと!な音楽。あえて言うなら子供たちが飛び跳ねて遊んでいるような、とでも言いますか。「第九」のように重々しさ、思わせぶりはなく、めっちゃ素直なんですよ。拍子抜けしますねきっと。

このテーマはディアベリ本人が書いたもので「ワルツ」らしいんですけれど、いわゆるウィンナ・ワルツのような美しいメロディー、優雅なリズムはここには全くありません。そんなものはいっさいない。ともかくメロディーを追おうとしてはいけません。

愉快な子供の遊びだなと思って聴けばわかりやすい。音も中音域の狭い範囲に収まっていて、こじんまりしていて、ぴょんぴょん言って飛び跳ねている。和音もとってもシンプルでそんなところも子供っぽい。

普通ワルツって三拍子で三拍目が一番軽いんですよ。ズンチャッチャッ、ズンチャッチャッの「ズン」の部分に重心が来ます。でもこのワルツでは時々あえて三拍目にアクセントを持ってきたりして、変化させている。この変化も気まぐれな子どもたちのようだ。いえい!いえい!っと一緒になって踊ろうよボーイ!

・・・ま、つまり年をとって、脂の抜けた(往年の、怒りに満ちたパワーはない)ベートーヴェンにぴったりフィットするようなのです。それがディアベリのテーマ。

このテーマは前半と後半にわかれています。それぞれ繰り返し記号がついているので2回ずつ弾かれる(最後の方の変奏までだいたい同じ)。後半はちょっとだけ変化がありますが、おままごとでクッキングに飽きたからお洗濯をしましょう、ぐらいの感じで、基本的なところは変わりません。

第一変奏に続きます。

テーマの実際の音は以下のyoutubeを御覧ください。演奏はアルフレッド・ブレンデルです。楽譜もついているので見やすいです。

54秒辺りまでがテーマです。前半と後半、それぞれ繰り返します。