エーテボリ交響楽団が凍り付いた瞬間。

クラシック音楽は、静寂と仲良し。静かであればあるほど、集中が出来る。それに対して人間とはとかくにうるさいもの。泣きながら生まれてきて、生きている以上、いろいろな音を立てます。そう、音楽を聴くから音を立てないように、というのもなかなか簡単なことではないのです。

一人でも音をたてまくるのに、ホール内には数百~数千もの人が集まっています。どうやったってノイズはなくなりません。それをどこまで許せるのか、人によって許せるレベルが違うのですが、なかなかやっかいな問題。

ねもねも舎の聞き取り調査によりますと、一般的に日本の聴衆はもの凄く静かなのだそうです。ヨーロッパ各国ではもう少し緩やか(ノイズが多い)だそうです。「日本は聴衆が恐ろしく静かだ」と、一様に演奏家が言います。最近中国も静かになってきたようですよ。昔はやばかったと聞きますが。

ただ、静かな聴衆、というのが必ず歓迎されているというわけではなくて(素晴らしい、という演奏家が多いのは事実ですが)、演奏家によっては「日本の聴衆はあまりにも静かすぎ、お客さんは本当にリラックスして音楽を楽しんでくれているのかわからなくなる。自分も愉しくない」という人もいます。おもしろいものです。

日本の平均的な感覚として、ホール内でのノイズはこんな風に受け取られているのではないでしょうか:

・足を組み替えるときの服が擦れる音:問題なし
・ため息:過度に頻繁でなければOK
・控えめな咳:しゃーねーか
・寝息:しゃーねーか
・大きい寝息:周りに広く聞こえるのでひんしゅく
・いびき:駄目
・くしゃみ:ひんしゅく
・香水:つけすぎはお願いだからやめて
・音に合わせて身体を揺らす:相当な確率でクレームに発展
・楽譜を読みながら聞く:めくる時などに音が出なければ可
・携帯のバイブ音:近くにいる人はちょっといらつく
・咳が出そうだからキャンディーを開ける:大ブーイング
・携帯電話とかおうちの鍵とかに鈴をつけておく:それ自体は別にいいけど・・・
・鈴のついた鍵を探すため演奏中に鞄をあさる:強烈なる大ブーイング
・演奏中のかけ声:歌舞伎へどうぞ
・携帯着信音:世界中で大問題

とりあえずこんな感じか(全然違いますかね)。・・・ほかにもいろいろありますかね?

というわけで、エーテボリ交響楽団が凍り付いた瞬間の動画をどうぞ。ちょっと前の動画ですがね。ツァハリアスの対応にご注目。

ツァハリアス、いらっとしてますよね。毅然としててかなり怖い。でも後を引かない感じで、何もなかったかのように再度弾き始める。これはこれで一つの対応法ではありますよね。ギャグっぽく返して客席をあえて和ませる演奏家もいますが、これぐらい怖くてもいいのではと思います。

この動画には続きがあって、その直後のアンコールも遮られるのだが、和やかな雰囲気です。ツァハリアス、大人ですな。