スコダとデームス、共演する

スコダとデームスという名前に反応するあなたは、年季の入ったピアノファンでしょう。若い頃はグルダと一緒に三人あわせて「ウィーンの三羽烏」(=さんばがらす。鳥じゃないよ、からすだよ)とか言われたこともあった。

グルダは亡くなってもう20年近く!経ちますが、スコダ、デームスの二人はまだご健在で、しかも今なおあちこち演奏旅行を続けているというから驚くではありませんか。年下の、同じウィーンのピアニスト的なくくりのアルフレート・ブレンデルはリタイアしちゃってるのに(とはいえブレンデルももう87歳)。

デームスはたしか今でも日本に毎年来ているんだったかな?スコダはさよならツアーが何年か前にありましたけどまだこうして活発に活動しているのであればまた来る機会もあるのかもしれません。

しかしこの二人が一緒に演奏するなんてことを考えた(考える)人がどれだけいるのでしょうか。よく一緒にやってるんでしょうか。すいませんリサーチ不足で知らなかったのですが、もしかすると時々やってるのかもね。

先週の日曜、すなわち2018年10月7日に、二人がオーストリアの第三の都市、リンツを代表するコンサートホール、ブルックナーハウスで共演。スコダ91歳、デームスもうすぐ90歳(デームスの誕生日は12/2)。なんてこった。二人あわせて180歳か。

これがそのコンサートのページ。
https://www.brucknerhaus.at/veranstaltungen/veranstaltungen/detail/paul-badura-skoda-und-joerg-demus-1041.html

すごいっすね。

まあなんだかんだ言って同じ時代を生きてきた二人ですから、幼なじみみたいなもんでしょうか。

コンサートはデュオではなくて、お互いにソロを前半後半で弾く、というもの。最後にアンコールでシューベルトのへ短調の幻想曲(短縮バージョン)を連弾して終わったそうです。

二人の体力を考えるとこれはたしかに合理的なような気もします。連弾の曲数を増やすとなると二人に負担がかかるし、別々に弾いてもらったほうがシンプルでいい。

公演の最後に劇場の支配人?が出てきて、感動的なスピーチもしたそうです。新聞評がさっそく出ていて、両者ともに素晴らしかった、忘れ難い夜になったということが書かれています。

https://www.kleinezeitung.at/service/newsticker/5509632/

おそらく二人とも指はもう回らないから技巧的な曲はだめだろうけれど、シューベルトのメロディーは演奏者が歳を重ねるごとに感動が増加していくことが結構あるから、お二人もきっとそうなのでしょう。お家芸というやつでもありますでしょうし。このコンサートちょっと聴いてみたかったかも。