リーズ国際コンクールが変わる

リーズ国際コンクールといえば世界三大ピアノコンクールの一つに数えられる名コンクールです。

伝説のピアニスト、教師のファニー・ウォーターマンが創設し(まだご存命!95歳)、前回のコンクールまでチェアマンを務めていましたがさすがに高齢のためか引退。ポール・ルイス(ピアニスト)とアダム・ゲートハウス(BBCの偉い人)がそのあとを継ぐことになっています。次回2018年開催のコンクールの大枠というか、コンクールが変わるぜ的なリリースがありました。公式サイトにも出ていますが、より詳細な内容がこのページにありましたので、英語出来る方はどうぞ。

Sparkling new makeover for The Leeds International Piano Competition
https://www.pianistmagazine.com/news/learning-the-piano/sparkling-new-makeover-for-the-leeds-international-piano-competition

リーズという町で「国際」と名前のついたイベントはこのコンクールだけ、しかも世界的に知られているということらしいのですが、次回はいろいろと新しい試みがなされるようです。

そのうちの一つがキャリア支援ですが、個人的に注目したいのが「アスコナス・ホルトという(世界で最も力ある)クラシック系音楽事務所が入賞者のうちの誰かと契約を結ぶ」という点。

ここは例えば指揮者のラトルとか、ピアニストではバレンボイム、シフ、フォークト、アックス、アンデルジェフスキなどが所属しているザ・一流事務所なのですがそこと契約を結べるという点。いきなり大手に行けるのでチャンスががっつり広げられるビッグ・チャンス!

さらに注目すべきは優勝者がアスコナス・ホルトと契約できるわけではない点です。コンクールで優勝するピアニストが必ずしも芸術家として優れていないケースも多いことは世界中のコンクールで既に証明済みです。

なので「入賞者の一人」とすることでアスコナス・ホルトは(言葉は悪いですが)「外れ」を引くリスクを低められる。参加する側としても、優勝一択ではないので、過度なプレッシャーから解放される。いいピアニストを見つけてみんなで育てようぜ!(もちろんコンクールというからにはプレッシャーは相当過激なものですがね)

たいへん面白い。

その他、ニューヨーク、ベルリン、シンガポールでのファースト・ラウンドの実施、Medici.tvでのインターネットライブ配信、BBCで英国内でのテレビ中継、CDリリースの権利、ウィグモア・ホールなどでのコンサート契約など様々な新機軸が打ち出されています。

次回リーズ国際コンクールのファーストラウンドは2018年4月実施、参加申込は2017年9月。気になる方はコンクールの公式サイトを御覧ください。

コンクール公式サイトに掲載されているニュース:
http://www.leedspiano.com/content/new-vision-announced-2018-competition

Innovations announced today include:

New-concept portfolio prize offering winners unprecedented long-term career opportunities, including new partnerships with Askonas Holt; an enhanced partnership with BBC Radio 3 that offers concert and recording possibilities; a debut recording, and engagements with leading promoters and venues

International first rounds in Berlin, New York and Singapore

The BBC to cover the Semi-finals and Finals with more details to be announced in due course.

Medici.tv to stream all the rounds internationally

Creation of enriched programme of events and activities in Leeds for audiences and participants, including a new chamber music element in the semi-final

An international and performer-led jury, chaired by Paul Lewis

New partnerships with London’s Wigmore Hall and Southbank Centre for a new Leeds Piano Festival, and with Royal Liverpool Philharmonic for a Concerto engagement with Vasily Petrenko

Consolidation of existing partnerships with BBC television and radio, The Hallé, Leeds City Council, Leeds University and Steinway with broadcasts and events to be announced

Personal mentoring programme with Paul Lewis and other international pianists

上、ざくっと訳してみました。

・前例のない長期キャリア支援。アスコナス・ホルトとの新たなパートナーシップ、BBCラジオ3とのパートナーシップはコンサートと録音を提供。またトップレベルのコンサートプロモーター、ホールとの提携。

・ベルリン、ニューヨーク、シンガポールで開催される第1ラウンド。

・BBCがセミファイナルとファイナルを放送。詳細後日。

・Medici.tvが全ラウンドをストリーミング配信。

・開催地で聴衆、参加者のための多用なイベントを実施。セミファイナルでは室内楽の審査も実施。

・国際的かつ演奏家主体の審査員、委員長はポール・ルイス。

・ロンドンのウィグモア・ホール、サウスバンク・センターと提携し、1リーズ・ピアノ・フェスティバルを開催。ヴァシリー・ペトレンコ指揮ロイヤル・リヴァプール・フィルとの1公演もあり。

・BBCラジオ、TV、ハレ管、リーズ大学と、リーズ市、リーズ大学、スタインウェイと提携。詳細後日。

・ポール・ルイスはじめ国際的ピアニストによる指導。