初心者からのディアベリ32(第31変奏)王子の嘆き

王子の嘆きとは。

王子とマー君は、どこでどう差が出てしまったのでしょう。ベートーヴェンとフンメルは、どこでどう差が出てしまったのでしょう。それはどんなに分析しても現在の技術ではまだわからないが、才能と運とが幸福な出会いをしなかったからです。どちらかが足りなくてもダメなんです。

ウサイン・ボルトになるためにはどうすればいいのか?それは生まれつきだからどうしようもない、とか、それに加えて運が必要だ、と為末大さんは言っていますが、芸術の世界もそれと全く同じです。才能がほぼすべてを決します。それにプラスして運、あとはあえて言うなら努力、この3つが偶然ぴったりと合わさった時にスターになれるのである。

スターにはスターの悩みがあるが、この変奏は敗者の嘆きなのです。ああ、どうしよう、八方が塞がってしまい、もはや引き返すことすら出来ぬ。四面楚歌である。虞をどうしたらいいだろう。

今回は、ブレンデルの演奏とともにお楽しみいただきましたが、ブレンデルも実力+運+努力で上がってきた人です。ブレンデルは強烈にピアノが弾けるタイプではありません。むしろ不器用です。しかしシューベルトなどのゆったりとした曲を弾かせたら天下一品の表現力を持っています。ある程度の腕と、高度な表現力を武器に自分を売り込んでいった、そして運良くメジャーな存在になることができたのです。

脱線しました。王子はしかし、完全な負け犬ではなかった。次の変奏曲、それが第32変奏つまり最後のフーガですが、そこで逆転、勝利の雄叫びを上げることになる。次回に乞うご期待!頑張れ王子!日本人はいつでも弱者の味方だ。

さあいよいよ残り3ラウンドだぜブレンデル兄ぃ。

クリックすると第31変奏。6分58秒ぐらいまでです。