被爆ピアノを知っていますか

被爆ピアノという楽器の存在を知っていますか。その名前のとおり、原爆の被害を受けたピアノのことで、本当に数えるほどながらも、何台か現存しているそうです。昨年のノーベル平和賞記念コンサートにそのうち一台が持ち込まれ、演奏された。これはテレビでもニュースになったのでご存じの方もおられるでしょう。

そのうちの一台について、広島の中学生が掘り下げ、映像にしてNHKの賞(第34回NHK杯全国中学校放送コンテストで最優秀賞)をもらいました。しかしまだあまり話題になっていないみたい。再生回数も少ない。まあこのYouTubeを見てください。

おや、アルゲリッチ・・・。おや・・シャルル・リシャール=アムラン。弾いてるんですよ、この両者が。この映像の中で。

確かに二人とも広島交響楽団と共演しているし、演奏してもらうチャンスはあったわけだ。そのチャンスを関係者がきっちりと捕まえたのだね。アルゲリッチはこの楽器を弾いて、このピアノはショパンが好きみたい、と言ったとか。嬉しいでしょうねえ。

アルゲリッチは難しい人だと思っている人も多いかもしれませんが意外とフランクな人です。政治的なポジショントークをしたのではなく、おそらく本当にそう思ったのだと思います。

楽器は傷みが激しいそうですが、こうして演奏してもらえた、しかも世界のトップを走る演奏家たちに演奏してもらった、ということは楽器冥利に尽きる。もし楽器に感情があるのなら大変喜んでいたにちがいありません。主(あるじ)を原爆で失ったことにはただた心が痛みます。しかしこのピアノは胸を張って亡くなった主に報告出来るでしょう。ショパンが好きだったという主も喜ぶことでしょう。

高度成長期には多くの家庭にあった、しかしやがては自宅の隅に埃をかぶったまま置かれ、最終的にはピアノ売ってちょうだいなどのお世話になる・・・。アップライトピアノの人生はそう言うケースも多いと思います。しかし原爆にさらされた、いわばどんなピアノよりもつらい境遇を強いられた楽器が、大切にされ脚光を浴びる、そしてそれを通じて皆が平和について考えるきっかけとなる、これは素晴らしいことではありませんか。

この中国新聞の記事によりますと、海外の音楽記者などからも注目されているそうです。
http://www.chugoku-np.co.jp/local/news/article.php?comment_id=400929&comment_sub_id=0&category_id=256

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