97歳のピアニスト、現役復帰

アビー・サイモンを知っている人、手を挙げて。

うむ。オタクどもがこぞって手を挙げたのが見えるようだ。アメリカのピアニストで、派手ではないですが、その経歴はかなり華やか。共演した指揮舎も(おっとうっかり舎にしてしまった)、バルビローリ(!)、クリップス、セル、クーベリック、ドラティ、ジュリーニ、オザワ、メータなど錚々たるお名前。

アビー・サイモン公式ページ
http://www.abbeysimon.com/

しかし、アビー・サイモンがまだ生きていて、かつ、現役だということを知っていた人は?うむ、またオタクどもが手を挙げてきたか・・・(勝手な想像)。

いやしかし驚きました。まだ現役だったとは。私もレコード1枚だけ持っています(レコードです)。ナクソス使いの方はここから聴いてみて下さい。

アビー・サイモンは英語のWikipediaによると1922年生まれになっていますが、テレビの映像では1920年生まれの97歳ということになっています。どっちが正しいのか、たぶんテレビの方でしょう。

このニュースはおなじみノーマン・レブレヒトのサイトに:

Pianist, 97, is back on circuit after breaking hand in road accident

ちょうど1年前、去年のバレンタイン・デーに事故に遭い、右手の骨を折ってしまった。普通だったらこれでピアニストとして終わった、と考えるでしょう。年取ってからの骨折は再起が不可能なケースがほとんど。だがアビー・サイモンは違った!なんと、手術を受けたり、金属の固定器具?を手の中に入れたりして(まだ入っているそうです)、再起への道を計った。そして先週、97歳にして表舞台にカミングバック!

上記URLでテレビ映像は観られますが、ちらっと聞こえてくるのはシューマンのアラベスクとショパンの即興曲第1番ですね。さすがにまあテンポは遅めですけれど、でもまだしっかりとした演奏です。

高齢の現役ピアニストというとまずメナヘム・プレスラーが思い浮かびますが、アビー・サイモンはさらに年長!しかもニュースによりますと、地元アメリカに加えジュネーブにも自宅があり、今年の夏もジュネーブ行きを計画しているとのこと。97歳で長距離飛行機にのって移動とか、相当すごいね。

というわけでアビー・サイモンに敬意を表し、アビー・サイモンが弾くグルックの「精霊の踊り」をどうぞ。おなじみズガンバーティ編曲のものではなくて、チャジンズという人の編曲。ズガンバーティの(モノクロームでやや単調な)編曲よりほんの少しだけ華やか。