ユジャ・ワンのインタビュー。雑誌ELLE。

ユジャ・ワンのインタビューがELLEのサイトで読めるようになっています。掲載されたのは先月の話で、紙の雑誌には去年掲6月号に掲載されたと書いてあります。なので今この瞬間のユジャ・ワンではないと思いますが、わりと最近のユジャ・ワンです。

http://www.elle.com/culture/music/news/a45507/yuja-wang-piano-phenomenon/

いま弾いていて好きな曲はなにという質問にバルトークの協奏曲3曲と答えています。・・・折に触れて考えるのですが、ユジャ・ワンにいちばんフィットする曲ってなんでしょうね。

ボクシングには階級があって、軽い人から重い人までいまして、パンチの重さとかテクニックとかが違うわけです。ピアニストにもそれに近い感覚を持ち込んでいいと思うんですよ。ユジャ・ワンにはもしかしたらどっしりと重たいブラームスの作品とかは向いていないかもしれないが(もちろん難なく弾けますがね)、たとえばモシュコフスキの小品とかを抜群の敏捷性でもって鮮やかに決める事ができる。

ユジャ・ワンを捕まえて、深みが足りないとかスタイルがおかしい(服装ではなくて演奏の)とか難癖をつけることはややナンセンスのようにも思います。

「自分はとても小柄だから」とこのインタビューの中で答えていますが、化物のような巨大な身体をもったポゴレリチやヴォロドスのような人とはそもそも立っている土俵がちがうのです。体格が違ったら繰り出せるパンチも全然違うでしょう?

というわけで、このインタビューの最後の一段落をお読みください。

How do you choose your fantastic dresses?

It’s hard to find clothes because I’m so petite. In my twenties, I’d put on my tight Hervé Léger dress and heels, and it looked like I was going to the bar. Concertgoers think, Classical music—it’s really serious. There are lots of rules, and the dress code, which I broke, was one of them. It’s irrelevant to what we’re doing. It’s just a piece of cloth, but once it’s on my body, it boosts my confidence, and that translates to the music.

ドレスがいつも素晴らしいのですが、どうやって選んでいますか?
私はとても小柄だから服を見つけるのがむずかしい。20代の頃はエルヴェ・レジェのタイトなドレスを着てハイヒールを履いて、まるでバーにでも行くかのような格好だった。コンサートに来る客はクラシック音楽は生真面目なもんだって思っている。ものすごくたくさんのルールがあって、ドレスコードだってその一つよ、私がぶっ潰したけど。服装は、そこで起こっていることとは無関係です。ただの服じゃない。でもそれを着ると自信が増すし、音楽そのものに変化するのよ。

ドレスコードがユジャ・ワンによってぶっ潰れたかどうかは、まだちょっとわかりませんが(ユジャ・ワンぐらいぶっ飛んだ格好をする後続は今のところいません)、堅苦しいルールは、時代と共に変わっていくでしょう。男性だって燕尾服は減ってきましたし、タイもジャケットも着用しない人が増えている。

てかユジャ・ワンももう30代なんですね。