「現代のコンクールでは、優勝をしなくてもよいのだ」~コワセヴィチ

ロン=ティボー国際が開催中です。日本時間の明後日夜明けに結果が出るでしょう。

ロン=ティボー国際は日本でよく知られているコンクールの一つですよね。日本でもガラコンサートをやっていたりしましたから。

蛇足ですがロン=ティボー国際で優勝したピアニスト、あなたは何人ぐらい思い出せますか?リストはここなどにあります(得意のWikipedia)。フランソワ、チッコリーニ、ロジェ、清水和音、田村響など日本人も何人か優勝しています。意外なところではブーニンとか。

今年のロン=ティボー国際の前に作られたプロモーション?映像がありましたので観てみました。以下の映像です。過去の入賞者の演奏もチラチラ映るのでそれを観るだけでも面白いですよ。

ところで私はフランス語は判りません。なのでフランク・ブラレイを始めいろんな人が入れ替わり立ち替わり話をしていますが、審査委員長のコワセヴィチが英語で喋っているところぐらいしかわかりません。しかしそのコワセヴィチが面白いことを言っていました。

あ、あと、今年の新作を作曲したピアニストのジャン=フレデリック・ヌーブルジェの自宅(らしき場所)に映っているピアノがデジタル・ピアノ、というところも気になりました。ヌーブルジェはデジタルピアノで練習したり作曲したりしているのか!(普通のピアノもあると思いますが)。

話をコワセヴィチに戻します。「コンクールの意義は、プレスが来ること。例えばウィグモアホールであなたがリサイタルをしても、プレスや批評家は来ないかも知れない。コンクールというのはそういった意味でも非常に意味がある。」とコワセヴィチは言うのです。たしかにコンクールは自分をアピールできる最高の場であることには間違いない。

そして、ここからがもっと面白かったのですが、「現在、過去は違ったが、現在は優勝する必要がない」と。これは個人的にすごく興味深かったです。優勝しなくても有名になれるチャンスがあるのだと。まさにその通り。これはネットによる中継とその影響を指すのだと思いますね。

・・・そこで登場するのがリュカ・ドゥバルグです。映像の中でもインタビューにちゃっかり答えちゃっていますが、この人は今年のチャイコフスキー国際コンクールで第4位に入ったフランス人ピアニストです。

彼はチャイコフスキーの2次予選の演奏があまりにも素晴らしかった。だがファイナルではあまりいい演奏が出来ずというか、残念ながら結構ボロボロだったため4位という結果になりましたが、その才能はなかなか突出していた。チャイコフスキー国際コンクール入賞者の誰よりも、いま注目されているのではないでしょうか。

チャイコフスキー国際は、ネットでmedici.tvがかなり高画質高音質の中継をし、しかも今でもまだ観られる状態になっている。これによって、彼のいいときの演奏の世の中に拡散しているのです。

「現代のコンクールは、優勝しなくてもよい」これはなかなか面白い言葉だとは思いませんか。

Lucas Debargueの素晴らしいメットネルの演奏は以下のURLで:
http://tch15.medici.tv/en/performance/round-round-2-piano-2015-06-21-2130000300-great-ha