水曜日のアルゲリッチ

アルゲリッチお好きですか。はい。若い頃は、アルゲリッチ?ふん、速く弾くだけだろう、内容がない。とか、斜に構えていたこともあったな・・・遠い目、な、私ですが、30年越しに、ついにここで公式に謹んでお詫び申し上げたい。遅すぎますねすいません。いや、アルゲリッチ教に転んでもう20年ぐらいは経つのですがね!

アルゲリッチ、最高じゃんか!アシュケナージのショパンエチュードとか聞いてふんふん言ってた自分が恥ずかしいぜ!(アシュケナージもむちゃくちゃ素晴らしいピアニストと思っていますので。念のため。)

しかしアルゲリッチの、あの狂ったように強烈なドライヴ感は、アルゲリッチにしかない!いまの現役若手で、全盛期アルゲリッチぐらいの指の歓びをくれる人がいるか、と問うてみても、いない、としか回答しようがない。それほどまでにアルゲリッチという人は偉大なのであります。神であります。

個人的な事を書きますが、音大ピアノ科卒、特に高校生のときは「世界を変えてみせる」と自信満々だった自分ですが、ピアノで生計を立てる事を最終的に諦めさせてくれた人物、それがアルゲリッチ。世界を変えたくとも、アルゲリッチみたいには弾けないと言うことに、ある日気づいたから。

より正確には、アルゲリッチが演奏するのを目の前で見て、これは駄目だ、音楽とはこのような才能を持つ人たちだけがやるべきだ、と妙な悟りを開いた、のであります。アルゲリッチ嫌いの人も沢山いると思いますけど、いや、ほら、目の前で弾いてるのみてごらん?背筋が凍りましたから。強烈な音楽がシャワーのようにぶわーっと脳に入ってきたから。全部の音がきらきらと輝いていたから。

自分にもそれなりにピアノを弾く能力はあったと思っていますけど、打ちのめされたんだね。ナイーヴだったんだね。自分。

そのアルゲリッチに、現役で今後対抗できるかもしれない人物を挙げるとするなら、、、やっぱユジャ・ワンですかね。ただユジャ・ワンのほぼ唯一にして最大の弱点は、身体が小さい事なんですよ。なのでアルゲリッチほどのパワーが出ないの。

というわけで今日はアルゲリッチの若い頃の動画を観て興奮しようぜ。英雄ポロネーズ。ショパンコンクールのライブ。

アルゲリッチのお辞儀がそっけないのは昔からですけど、このお辞儀が特に素っ気ないのは、自分の演奏に納得が行かず怒っていたから、なのだそうですよ。

まじかよそれでもうますぎる。