これはびっくり。演奏直前に客が国家を歌い出したらどうなる。

先週の金曜日。ベルリンでの出来事。ガブリエラ・モンテーロがミルガ・グラツィニーテ・ティラの指揮で、チャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番を演奏しようとステージに上がったところ、演奏が始まる直前に、1列目の男女が立ち上がって突如、ベネズエラの国歌を歌い出したそうです!(モンテーロはベネズエラ人)

さあ、この一大ハプニング、どのような結末を迎えたのでしょう。どう思います?

モンテーロはもう、大変感動したそうです。ベネズエラはいま非常によろしくない状態らしいので、それを知ってもらうきっかけになったのではないかとのこと。ベネズエラの今についてはたとえばこういうところにその惨状が書かれています。
http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2016/05/post-5123.php

国家の歌唱が終わると、指揮者は演奏を開始。モンテーロもきちんと演奏をしたと(客席にいたイゴール・レヴィットによれば素晴らしく感動的な演奏だったとか!)。そしてアンコールを演奏する前に、マイクをもってお客さんに向かって話しかけたそうです。

I want to explain to you what just happened. This couple, whom I have never met, courageously sang our National Anthem, to remind the world that beyond these walls, of this safe concert hall, there are a great many people who are suffering. Our country, Venezuela, is suffering and living its most horrific history”.

「いま起こったことについて話したいと思います。この二人は、私は会ったことがありませんでしたが、勇気を振り絞って私たちの国家を歌いました。この安全なコンサートホールの壁の外側で、とても多くの人たちが苦しんでいるということを知らせるためにです。私たちの国、ベネズエラはいま大変な苦境にあり、歴史上例を見ない時代なのです。」

とここまでしゃべったところで「ここはそんな政治的な話をするような場所ではない」というような内容の事をドイツ語で叫んだ客がいたようですが、

”MUSIC IS ABOUT HUMANITY, OTHERWISE, IT MEANS NOTHING”.
「音楽とは思いやりです。でなければ音楽に意味はない」

と言い、大喝采を浴びたとのこと。詳細は以下、ノーマン・レブレヒトのサイトに。

Audience stunned as Berlin concert becomes a political protest

さて、日本のコンサートホールで同じような事が起こったら・・・仮に同じモンテーロが舞台にいたとして、一体どうなると思います?全く見当がつかないですね。