1979年、グールドがゼルキンの練習についてディスっている件

グレン・グールドハッピーバーズデー的な投稿があちこちで見られました。そうですか昨日はグールドの誕生日だったんですね。死んだ人の誕生日を祝うのは気持ちの良いことではないと個人的には思いますが、みんないっぱいやっていますからそんなにみなさんは抵抗がないのでしょうか、もしくは個人的にひっかかる、という人も、こうやってプロモーションしてCDとか売れればとりあえずオッケーなのでしょうか!!いや、そうやって割り切っているのなら、ねもねも舎もオッケーです(変わり身が早い)。

というわけでグールド。

グールドのCDとかグールドに関する本とか映画とか、もうそれこそ中学生の頃から大学生の頃にかけてむさぼるように聴いたし、読んだし、観たし(学校さぼって映画観に行ったこともある)、と遠い目になれるんですが、最近はごぶさた。久しぶりに聴きながら書いております。うなり声萌えですわ。

グールドって、電話インタビューが好きだったんですよね。で、グラモフォン誌に1979年に掲載されたというインタビューが、グラモフォン誌のサイトに掲載されていて、読んでよ、とおすすめされましたので読みました。懐かしい気分全開で。

https://www.gramophone.co.uk/features/focus/classic-glenn-gould-interview

グールドの、練習に関するスタンス、思い出しましたね。「自分は2週間、3週間ピアノを触らなくても何の問題もない。8時間とか練習する人の気がしれない」という事を言っているわけです。

グールドは、自己肯定の塊のような人で、自分と自分のピアノ演奏能力にものすごい自信があるからそんな事を言えたのでしょうね。・・・本当に練習しなくてもオッケーといいながら実は練習している、そういうケースもありますから要注意。グールドの言葉だけを信じて、まねしちゃ駄目。絶対。

特に面白かったのはルドルフ・ゼルキンの上階のホテルに泊まっていたときのこと・・・。「前夜、ゼルキンはシューマンのピアノ協奏曲を弾いたと新聞で朝の9:45ぐらいに読んだ。その5分後ぐらいにゼルキンがスローモーションで昨夜弾いたシューマンの練習を始めたんだ!」というそのコメント。

いいですか、我々凡人は、グールドのその嘲笑に乗っかって「ルドルフ馬鹿だな」と一緒に笑うのではなく、むしろ、ルドルフすげえ、その努力すげえ、となるべきなのです。

効率を求めることは必要です。8時間9時間、練習することがいいことだとはいいませんが、でも、常にもっとうまくなりたい、と謙虚に朝から練習をするルドルフ・ゼルキン(勝手にそうじゃないかと想像)の姿勢の方こそを見習っていただきたい。ピアニストになりたいなら、うまくなりたいなら、斜に構えたグールドをまねすることは決してしてはいけません。決して。あなたは凡人である、百歩譲って天才だったとしても、グールドのような「世界の怪物中の怪物」ではない!!これ重要。